理想の動きを求めて MOMOKO AKIYAMA
陸上競技実業団チームを引退し、ランニングとの新しい関係を模索している秋山桃子さん。
おっとりとした話ぶりからはとても第一線で勝負していた陸上選手だったとは思えない。おしゃれが好きでイラストを描いたりアクセサリーを作ったりといった側面も一般にイメージするアスリート像とは少し違っている。けれど彼女は、2020年青梅マラソン10kmの部で33分29秒で優勝という結果を残し、現役を引退したばかりのランナーなのだ。
3年半の実業団時代はちょっときつかった
「引退はずっと考えてました。一年目からタイム的にも気持ち的にも追いつかない部分があって、お金をもらってやっているのになんで結果に結びつかないんだろうって。やっぱり結果が全ての世界で。まだそういう時期じゃないから、これからだから大丈夫っていってもらってはいた。でも引退した年(2020年)の日体大の記録会で自己ベストが出て、青梅マラソン10kmでも優勝したのに全然嬉しくなくて。それまではやっぱり自己ベストが出たり優勝したりしたら当然嬉しかったんですけど、なんとも思わなくなっていて。これは何か違うのかなって思い始めて」
そこで秋山さんはチームに休みをもらい、母校の高校の練習に参加する。
「チームから離れて、でも走りたい気持ちにはなるので、高校の先生にも相談して合宿に参加させてもらったんです。走るのが楽しいという気持ちは残っていて、休んでいた分を取り戻すようにして走りました」
その後、実業団に戻ったがやはり気持ちは戻らなかった。秋山さんは決して成績が下がっていたわけではなかった、むしろ自己ベストを更新し、大会優勝まで成し遂げていた。ただ彼女には「職業として走る」ということがうまく体に馴染まなかったということなのかもしれない。
動きづくりにハマる
筑波大学時代から練習メニューを主体的に組み立てるということが求められたという秋山さんが、競技生活を通して特にこだわったいたのが「動きづくり」、いわゆるランニングフォームや走りの効率を高めるランニングエコノミーの分野だ。
「競技生活を通して調子が良いと感じたのは、動きが良くなっていった時。大迫傑さんみたいな動きをしたかったので、ビデオをたくさん観たり、自分でパーソナルトレーナーを探して通って、こうやって動かすんだって感覚がわかるようになってきた時の練習はすごく充実していました。
上半身と下半身の連動がうまくいくっていうか、いかに前に楽に進んでいけるかっていう感じですかね。それが自分の中で合致した時に楽に走れる感覚が生まれて、どんどん改善していった。
世界で勝負できるケニア人選手の動きをよく見ていました。接地のしかたとか、膝の向きや入り方を注意して見たり」
他の選手の動きも観察しながらマニアックに動きを追求していた秋山さん、現役時代のベストレースは?という質問に対しても良い動きができた試合をあげてくれた。
「2019年、最後に出場したクイーンズ駅伝なんですけど、その時は動きがハマりました。やっぱり最後はきつかったんですけど、全体的に力が抜けて走れていて、前の選手にもどんどん追いついて気持ちよく走れた試合でした。やっと自分の理想の動きができてきたなって感じでした」
作ることが好きで支えになった
秋山さんのインスタグラムをのぞくとポップなイラストや手作りのアクセサリーなどの投稿がたくさんあがっている。
「何かを作ることは元々好きだったんですけど、少し気持ちが落ちている時に突然母親から指輪でも作ってみたらって勧められて。全く知識もなかったんですけど、道具を一式買ってはじめてみたらすごく良いものができたんです。それでもっときちんとやってみようかなって。いまは欲しいっていってくれた人には材料費だけもらって作ってあげたりもしています。実業団に所属している頃はイラストもそうですし、何かを作るということが支えになっていましたね」
作ることやファッションが好きで、HERENESSのハーフタイツを日常でも着こなすという高度なスタイリングも楽しんでいる秋山さん。実業団を引退し、これからはウェアの着こなしも自由に楽しみながら、その美しいフォームで自分のために走りはじめる。
秋山桃子 身長163cm
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